一輪のコスモス
庭に野生のコスモスが咲いた。殺風景な緑色の中に、ピンクの細い花弁が可愛らしい。
「そんなことあるんですね」
「ばーちゃんが庭いじり好きな人やったから。残っとったんちゃう? 知らんけど」
「本当にそれ言うんですね。大阪の人って」
縁側に並んで座り、庭に咲いた一輪のコスモスを見ながら、湊はスマホをいじっている。
「種は一年草ですって。枯れたら、再生することはないそうですよ」
「じゃ、手入れしてへんかったから見えへんかっただけで、毎年咲いとったんかな」
一年前までの雑草まみれの庭を思い起こした。今年になって草刈り機なんかを買い揃えて庭をキレイにしたが、それまでは無法地帯だった。枯葉だけでなく、枯れ枝まみれでもあった庭に、コスモスが咲いていたって気付けない。
「持って帰る? 引っこ抜こか?」
「いや。このままにしてあげてください。おばあさんが好きなんでしょう?」
「……もう帰ってけえへんけど」
「じゃあ、写真でも見せてあげたらどうですか?」
湊に言われて、なんとなくで写真を撮った。
数日後、施設にいる祖母にその写真を見せると、少女みたいに笑って喜んでくれた。
10/11/2025, 12:38:38 AM