#秘密の場所
(季節感は気にしないでくれよ)
密かに恋心を寄せてた彼と花火大会に行くことになった。べつに親友だから、ということで誘ってきたんだろうけど、正直こうやって出かけられることが嬉しくて頬が緩んでしまう。
「早く来いよ〜!」
元気にそう言う彼はとても愛らしくて。はいはい、とため息をついては追いかけ、俺も笑みを浮かべた。
そして、俺たちが着いた先は人気のない丘の上。空が澄んでいて、夏なのに心地が良い。
「ここ、おれが中学の時に見つけたベストスポット!」
「へぇ、たしかに見やすいな。中学の頃のダチと来たりしたのか?」
「いや、人に教えるのはこれが初めて。お前はおれの大事な友達だから!」
初めて。その言葉は嬉しかった。2人だけの秘密の場所、みたいで。ほんとにこいつとは良い友達になれて良かった。違う気持ちで見てしまっているのが少し申し訳ないくらいだ。
買ってきたものを2人で摘んでいると、いつの間にか花火が打ち上がり始めていた。
「綺麗だな」
「ああ」
今なら言える気がする。俺の気持ちを正直に…。その時、彼がこちらを振り向いて引き寄せた。
「なぁおれさ…お前の事────────」
3/8/2025, 10:38:55 AM