さくら ゆい

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【時を告げる】

四月二十日、学校の始業式だった。始業式なんて言っても別にホームルームを受ければ終わるだけの短く簡単なもので、出てしまえば単位になるので出ない選択肢なんて無かった。

そんな私は学校の教室で永遠と授業が始まるまで同級生と後輩の存在を待ち続けるが、自分の友人は一人しか来ない。他の友人は皆、専門学校に進学したのか?でも進学したなら『専門学校に合格したから専門学校に進学するんだ』とかぐらいは言ってくれるかと思いながら始業式という名のホームルー厶が始まる。やっぱり友人は遅れて来ないし、連絡もよこさない。不安に駆られながら過ごしたホームルームはあっという間に終わった。

そこから数ヶ月後のこと。
授業内で夏季のスクーリングの手紙を貰った事を名簿に記入をしなければならなかったので名簿を見たのだが、不意に見えた友人の指名欄横には退学と転籍の文字があった。その瞬間、別れを告げる文字を見てしまったと酷く後悔した。
そういえば退学した友人は『僕はもう戻らない』と私に告げていた事を思い出したが、私は「来年度には戻ってくるだろう」とその言葉の意味を深く考えずにいた。けれども転籍した友人は何も告げはしなかったが、誰も悪くは無い事象のせいで距離が出来ていた。

私の友人は皆、元気にしているだろうか。退学、転学、転籍、休学。どの選択肢を取ろうが、私は何も口を出すことは出来ない。それは友人が選んだ道を他人の言葉ひとつで消したくは無いからだ。でも元気にやっているのなら別に大丈夫、大丈夫。

9/7/2024, 9:19:32 AM