蝶よ花よ
周りから見たら私は何不自由なくちやほやされて育った貴族だと思われているだろう。けれども私の両親は自分の子供を道具としか思っていない。家門のためだとか言っているけど、結局はお金がほしいだけのくせに。でも私は両親には逆らえない。跡取りでもない私はきっともうすぐ誰かも知らない人の家に嫁がされるだろう。私の意思など関係なく。逆にそっちのほうがいいのかもしれない。両親から抜け出せるのだから。ただ一つ心残りなのはお兄様と離れてしまうこと。お兄様はこの家の跡取りだからそれこそちやほやもされていたし、勉強なども厳しくされていた。羨ましいとも思ったことはあったし、嫉妬もしてたけど、私のことをずっと大切にしてくれているお兄様のことが私は大好きだった。お兄様がこの家を継ぐまであと一年。きっと今年のうちに私は何処かに嫁ぐだろう。お兄様はどうか自分の愛しい人と婚約してください。
2024/8/8 No.8
8/8/2024, 1:14:03 PM