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(没)
─"光"のようだ。

そう思った。
決して、強く眩いものではない。
抱擁のように優しい、やわらかな光。

現のものではないような、幻想的な美しさに息を呑む。
きっと、この世の美しいものを全て詰め込んだとしても、敵いはしないであろう。
甘露のような微笑を湛えて、"光"は此方へと手を差し出す。

吸い寄せられるかのように、薄汚れた右手はその手を掴んだ。

その瞬間から私は、この"光"の為だけに生き、人生を、全てを捧げよう。そう誓ったのだ。



───────────

放課後の教室。
目の前の彼は書類と睨めっこをしていて、此方の視線にはまだ気づいていない。
窓から差し込む夕日が、ふたりを照らす。
このまま時が止まればいいのになんて、有りもしない事を考えながら、彼を眺める。

ふと、伏せ目がちだった、瞳がしっかりと此方を捉えた。そして、華々しく笑う。
またも、やわらかい光が私を照らした。






















10/17/2022, 9:58:47 PM