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あれは自動車で大阪から島根に帰る時のことであった。
中学のバスケ部で後輩だったKと互いにお気に入りの曲をかけあいながら、また長距離運転だったためハンドルも握り合いながら中国自動車道を駆け抜けていた。
最初大阪を出たあたりではワンマンライブ状態だった太陽も兵庫を抜けるあたりでステージを去り、満員電車よろしく雨雲で寿司詰め状態となった。
ひとつトンネルを抜けると彼らの流した雨粒が私の愛車を濡らした。
急なゲリラ豪雨に気を取られたため、車内を流れる音源はAIの支配下に置かれていた。
鳥取に入って降車した彼らを見送るとアンコールに応えるかのようにサンがライジングしてきた。
さっきまでの通り雨がウソみたいな綺麗な空。
福山雅治の声色とAIの粋な計らいに惚れ直した私達ふたりであった。

9/28/2024, 10:31:29 AM