茉莉花

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運命の糸が私じゃない人に繋がっていたら、どうすればいいんだろう?
あの人の赤い糸をちょん切って、私のもちょん切って、結びつけてしまえばいいのだろうか。
でも、それだといつか解けてしまいそうだなぁ、なんて考えながら、うーんと伸びをする。
「なんだ、もう集中が切れたのか?」
「ちがいまーすちゃんとやってまーす」
気の抜けた返事をしながら、忙しなく動く相手の左手をちらと見遣る。
きっとそこの糸は私に繋がっていないのだろう。
(…上等だよ)
なら奪ってしまえばいい。運命なんかに頼らずとも。
「私、頑張りますね」
ぽつりと呟くと、彼女は困ったように笑って「まずは手を動かせ」と言った。

6/18/2025, 10:47:32 AM