TAO /fiction

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朝起きて、トイレにいって、朝ごはんを食べて、歯磨きして、着替えて、荷物を持って、いってきますと言って玄関を出た。

日常。

その日常に、急に現れた非日常。

ボクは声を出すこともできず、身動きをとることもできず、ただ茫然とした。

血の雨が降り、
人が人を喰らい、
犬の顔は3つに分かれ、
空には翼竜が飛んでいる。

こういうときって人は意外と頭の中は静かなんだな。
きゃー!とか、わー!とか言えないもんなんだな。
動くことができずにそんなことを考えていたら、次の瞬間には真っ暗な世界が広がった。
口の中みたいだ。
鋭利な歯が肉体を裂く。
痛みはない。
恐怖もない。
ボクはその真っ暗な世界に溶けた。

6/22/2024, 11:05:35 AM