風に乗って
風に乗って君はまた僕の肩に降り積もりにやって来た。数ヶ月前「あなたの肩に降り積もる雪になりたい」と囁いた君は深々と静かに降り積もり僕の肩を白くしてやがて消えた。
外套の肩先に君の涙の跡がいつまでも残っていた。
「今度は消えない姿で戻っておくれ」
僕は外套に残った君の涙の跡を撫でながら呟いた。
やがて、春が来て風に乗って君は戻った。
今度は薄紅色の羽衣を纏って
ハラハラと僕の肩に降り積もる
「今度は雪じゃないから消えないは」
彼女の子供のような声が僕の耳に届いた。
僕は肩に止まった薄紅色の彼女を掌に乗せて
「おかえり」
そう、呟いて
肩に舞い降りた桜の花弁をそっとハンカチに包んだ。
いつまでも一緒にいよう
君降る午後
2024年4月29日
心幸
4/29/2024, 1:45:13 PM