『静かな夜明け』
ある会社員は徹夜で仕事を終わらせ、ため息をつきながら朝を迎える。
ある女性は仕事から帰り、朝日の昇るベランダで、一人煙草の煙を見つめる。
ある少女は朝早くに目が覚めて、学校に行く用意を始めるまでの時間を、大好きな絵を描いて過ごす。
ある男性は隣で眠っている恋人を起こさないように、そっとその髪を撫でる。
ある母親は早起きをして、遠足にいく子供のお弁当を、愛情を込めて作る。
ある学生は一睡もできずに、薬のシートが散乱した部屋に座り込み、泣き疲れた目で朝日を見る。
彼らは一人ひとり何もかも違うけれど、全員が同じ時間に生きて、同じ朝日を見ている。
当たり前のようだけど、そう思うと少し勇気が湧いてくる。
私も一人じゃないって思える。
ずっと、毎日が不安で苦しくて仕方がない。
でも、顔も名前も知らないけれど、どこかで自分と同じ朝日を見ている人がいる。
私が嫌なことをしている時、最低な言葉を吐かれた時。
地球のどこかで、私と同じように思い悩んで、それでも前を向こうとする人がいる。
それだけで、ちょっと救われた気がする。
2/6/2025, 11:21:40 AM