僕を見つめる彼女の目にはどこか生気がなかった。
当たり前だろう。なぜならば彼女は僕が格安で買ったアンドロイドなのだから。
しかしながら彼女と違い現代で大抵のアンドロイドは不気味の谷(中途半端に人間を模した不気味さ)を超え、人間ともはや区別がつかないほどに容姿がそっくりだ。
ならば、なぜ彼女は無表情で不気味なのか? その答えは中古品だったから。
彼女が作られたのは20xx年。約二十年前だ。
それと彼女には奇妙なホルダーがあった。その名も「sweet memories」。甘美な記憶。
前の持ち主が作ったホルダーなのだろう。最終更新日は20xx年、5月、18日。アンドロイドが発明される前の日付だ。パソコンから転送したのだろうか?
20xx年、5月、18日
これで日記を書くのを終わりにする。
未練は残してはならないからだ。
色々書いてきたが結局は人は特別ではないのだろう。人間の頭脳はAIに先を越されつつある。私の予想だが、心もいずれかは獲得するだろう。
人の心というのは、何かを盲信することだと思う。
紙切れはお金に変貌し、自己満足は愛になり、自分にとって都合のいいことは善となり、そして熱意は当人にしかわからない勘違いである。
AIは盲信のような非合理的なことはしないがわざと間違うことはできる。そうやって心を手に入れる。
そうして人は特別ではなくなる。
この人は病んでるのだろうか?
そう思わせるほど熱狂的に書かれた机上の空論である。途中から頭に入って来なかった。
文章にはまだ続きがあった。
何もかもが新しいものに置き換わり、茶化されて消えてしまうのが私は怖かった。
5/17/2026, 12:16:31 PM