お世話になった先生の異動がきまった。覚悟はしていたことだった。既に何年もこの学校に勤めていて去年の時点で「来年はいないだろうから」といって笑っているような先生だったからだ。
とはいえそう言ってたからといって喪失感が薄れる訳では無い。とても良い先生で教え方は丁寧で分かりやすく、クラス内でトラブルがあった時には即座に動いて対応してくれるような先生だった。その影響か他クラスからも相談を持ちかける生徒が多発していたのも見てきた。
退任式の日、最もお世話になった人間として私が花束を渡す係を務めることになった。その場では感極まって泣いてしまったが最後にキチンと想いを伝えることができたから後悔はしていない。
しかしそこで先生が言っていた「また会いましょう」という言葉の意味はしばらくの間分からないままだった。
当然暫くは喪失感が無くならないままだったが
そこから数ヶ月後、最後の夏の大会で対戦相手となった学校のベンチには、なんとあの先生が座っていた。
挨拶に行った私に向かって先生は笑って言った。「だから言ったでしょう、また会いましょうと」
11/13/2024, 12:37:05 PM