小学校3年生だったか。七夕の日、私は短冊に「妹が欲しい」と書いた。いとこの姉妹が喧嘩するほど仲が良く、ひとりっ子の私には羨ましかった。
だから自分にも弟か妹がいたら良いなと願ったが、親に短冊を見られて恥ずかしくなった。「妹が欲しいの?」と自分の願いを口に出されて、聞いてて嫌になった。その後、オモチャか何かが欲しいと書き直して笹の葉に飾った。
自分の親は恐ろしくも単純で、すぐにきょうだいを用意してくれた。私の願いを聞いてくれた親に愛情を感じられたが、すぐに失った。
妊娠の報告を祖母から聞いた時、私は朝起きて裸の母親と遭遇した日を思い出した。あの時は、母親が寝てて暑かったから服を脱いだと言った言葉を信じて、特に気にしなかった。私も親に似て、馬鹿に単純だった。
私は、あれが性行為の姿なのかと気づいてしまい、母の嘘と重なってより不快になった。さらに、妊娠の報告を祖母に任せたことが、子どもの私の心を傷付けた。悲しいと言うよりも、家族から見放された悔しさに涙を流した。何も言わずに泣く私に、祖母が戸惑うのも無理はない。
その後ようやく、私に弟ができたが、いつの日だったろうか。食事時に、父親が本当はこんなにも子どもを作る予定はなかったと突然言い出した。衝撃的な一言だったから、本当にいつ言ったのか覚えていない。
狭くて窮屈な家とリビングとテーブル。父の書斎室を奪った子どもたちが平然とご飯を食べてて、よほど憎かったのだろう。
もっと計画的にセックスすれば、今ごろ父親は、自分の部屋で大音量のアニメを延々と観られただろうに。この人もやはり単純極まりない。
願わくば、私は子どもの頃の自分にこう言ってやりたい。
「他人に自分の夢を託してはいけないよ。自分で叶えられる夢を持ってね」
(250310 願いが1つ叶うならば)
3/10/2025, 12:47:34 PM