私は多分、極度の怖がりだ。
虫が怖い。吠える犬が怖い。夜が怖い。ホラーが怖い。火が怖い。刃物が怖い。雷が怖い。車が怖い。自分とは違う人間が怖い。人を傷つけるのが怖い。人に嫌われるのが怖い。だから、人と関わるのが怖い。
でも姉は、私とは正反対だった。
虫は嫌いだけど、怖くない。犬は吠えられても可愛い。夜は神秘的で好き。ホラーはスリルがあって面白い。火は暖かくて好き。刃物は便利。雷は音がたくさんあって面白い。車はドライブできて楽しい。自分とは違う人間は、違うからこそ興味深い。自分は人を傷つけるようなことはしないとわかっているから怖いと思わない。人に嫌われても自分が嫌いにならなければいい。だから、人と関わるのは好きだ。
「怖がりでもいいと思う。それも自分の一部なわけだし、否定するつもりはない。けど、やらずに怖がるのだけはやめなよ。そこで得られるはずだったことを、挑戦しないことで得られないのは、後で後悔に繋がるから」
いつか、姉に言われたことを思い出す。
今日は高校の入学式。中学の数少ない友達はほとんどいない。私はここで怖がりを克服しなければ、この三年間、後悔ばかりが募るだろう。
私の中の怖がりな私が、刺激だらけの世界への扉を、ゆっくりと開いた。
3/16/2023, 11:00:18 AM