月が凪ぐ夜

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あなたから受ける視線で火照る私は微熱を患う。

息をするのも切なく、胸の鼓動は高鳴り、心があなたで満たされて、もうあなた以外が目に見えない。
昨日まで何も感じなかったあなたのひと言が、私の感情を揺るがす魔法の言葉にも聞こえてしまう。

あなたの顔が見られなくて、視線を逸らすたびにまたあなたからの視線が私に刺さる。そしてそれがさらに私の熱を上げていく。

その視線の意味を知らないほど私は無知じゃない。
けれどその意味を理解するほど私はそれを知らない。

だからもう少し待っていて。
ただ熱に浮かされただけじゃ怖いから。

あなたにそんな視線を向けられて、火照った私の答えなんてとうに決まっているようなものだけれど。
あなたの視線を受け止めて、あなたの言葉に微笑い返して、真っすぐあなたを見つめられるその時まで。

もう少しだけ、待っていて…。


【微熱】

11/26/2023, 3:18:48 PM