村人ABCが世界を救うまで

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人々は飽きもせずクリスマス並に飾り付けをされた夜会に精を出す。
むせ返る化粧の香り、香水の香り、タバコのような香り。空気は綺麗だけど色んな匂いが混ざっていてあまり好きではない。
日本人の感覚的には、オンラインが主流になる世界線だと思ってたんだけど、一部の富豪世帯は違うみたいだね。
いわゆる社交会ってやつ。噂話に政界の話。儲け話に御子息達の嫁探し…。そして誇示と自己顕示欲―――。

奴は私を着飾って一歩後ろに歩かせる。
それであの男の気が済むなら安いものだと思う。決闘という古風な呼び名の見せ物もすぐに始まった。いわゆる自分の手駒のお披露目会。最新技術の競り合い。大きな商談も決まるらしい。
「良かったぜお前… しかし危ねぇな。後少しで殺しちまうとこだった」
言葉では心配している素振りだが、自分の連れてる商品が話題を掻っ攫ったんだもんね、まんざらでもない様子だ。
頬をなで、髪を愛しげに触れてくる。気持ちが…悪い…。髪は炎でチリチリになってしまったし肌もひりつく。まだ少し調整は必要なようだ…。

共鳴感が一気に高水準を叩き出し数値も一気に伸びたらしい。観客総立ち。クリスタルのような古代魔岩礁を召喚。遠隔攻撃をすぐさま反射。電流で陣を描き炎の追撃…。多分、想定以上。
オーナーの停止の声で一瞬で首に何十もの糸が絡まったかのような苦しさを覚えた。本当、よく止まったわ…。


跡が…残っている。あとは私はただ彼の逆鱗に触れぬように目を伏せて付く…。同じ会場にいる昔の恋人は哀れなように見てくるけど、そもそも貴方が…私の権利を二束三文で売り渡したんじゃないの。

終わった後はホテルで湯浴みをして食事もそこそこに、ベッドに突き飛ばされる。眠る間はない。激しい愛撫が始まった。二人の男がいつものように見下ろしてくる。撫で回す手も、金属の棒を内臓に突き刺してくるような行為も耐えられる。適当に演技を挟んで、気を失えばたたき起こされる。
平気…。あの人が付けた昨日の記憶で耐えられる…。

次の日に私は夜会中に、半身を吹き飛ばされた。
何週間か前に見た光景と重なる。ここだったんだ。家で待ってるかもしれないあの人に、心配掛けてないといいな…。


また明日


5/22/2026, 2:27:00 PM