逢うは別れの始まりって知ってる?
長い髪を風になびかせて、あの時彼女は僕にそう言った。
白いワンピース 大きな鍔の帽子 向日葵がふんわり揺れていたっけ
「おじいさん、ご飯ですよ」
「おお、まだじゃったかの?」
食事を準備してくれて、隣で微笑む白髪の老女。全然知らない人なのに、僕の心が穏やかに凪いでいるのは何故だろう。
目の前の箸らしき物を見るけれど、これは一体どう使えばいいのか。少し逡巡していると、老婆がスプーンをそっと差し出してくれた。
嗚呼、ありがたい。
ぎゅっとそれを握りしめ、茶碗に盛られたばかりの白米にザクッと差し込んだ。
窓から外を見てみると青々とした葉っぱ、山が緑に萌えている。夏の風が優しく吹いた。
嗚呼、今年こそあの子に会いたい
8/20/2024, 10:16:04 PM