もう夜も更けたというのに、
アイツの空模様はまるで快晴だった。
「よし、次はあそこ行ってみようぜ」
街のネオンに誘われてふらふらと歩く様子は、街頭に集まる蛾のそれだ。
さっきから石油王もドン引きしそうな額の領収を何度も切っているのだが、本当に大丈夫なのだろうか。
「心配すんなって」
不安になる私をよそに、アイツは次の店に吸い込まれていく。
このまま先に帰ろうかとも考えたが、流石に置いていくのはバツが悪く、渋々後を追う。
『いらっしゃいませ!』
店に入ると、煌びやかな格好をした女性たちが笑顔で迎え入れてくれ、全員がテレビにも滅多に見たことのないくらい美しかった。
俺はあまりにも突然の出来事に空いた口が塞がらなかった。
何故ならその女性たちの中に紛れて、際どい格好のアイツが出迎えてくれていたからだ。
『お誕生日、おめでとうございます!!』
灰色だった俺の空模様は、一気に快晴となった。
8/19/2023, 3:14:34 PM