もんぷ

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手放す勇気

 生きるために、ある程度のことは犠牲にしてきた。世間一般のキラキラした青春や人並みの学校生活なんて微塵も味わうことができないまま卒業して夜を生きる生活を始めた。生きるために、お金を得るために、身一つでここまで駆け抜けてきた。手放す勇気は誰よりもあると自負していた。それなのに、このざまはどういうことか。ただ生活を共にするようになった人にこんなにも縋り、夜から抜け出した新しい仕事にこんなにも楽しさを感じている。もうこの生活は手放すことができない。どんなお金に換えてもだ。

5/16/2025, 2:18:36 PM