sairo

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「秋だぁ」

赤や黄に色づいた葉を見ながら、少年は呟いた。

「秋だね」

それに答える少女の声は、どこか呆れを滲ませている。

「夏、終わっちゃった」

肩を落とす少年の手には、虫かごと虫取り網。麦わら帽子を被った姿は、夏休みを謳歌する少年そのものだ。
対して、少女は秋色の落ち着いた長袖を着ている。半袖短パンの少年の後ろ姿を見つめる少女の目線はとても冷ややかだ。

「夏なんて、とっくの昔に終わったわよ。さっさと帰ったら?」
「酷い。ねぇちゃんと遊べるの、楽しみにしてたのに」

ぶつぶつと文句を言う少年を一瞥し、少女は背を向ける。
慌てて追いかけてくる少年の気配に、重苦しい溜息を吐いた。

10/3/2025, 9:50:38 AM