300字小説
男とピンと月の舟
私はキラキラと大小の星が無数に流れる川のほとりにいた。
隣では赤い髪の大柄な男の人が
「どうしよう……どうしよう……」
青い顔で呻いている。
「どうしたの?」
「……ちょっと地上でのんびりし過ぎていた。早く戻らないと『とうとう爆発したか!』と大騒ぎになる」
男の人が私の髪を止める星の着いたピンを見る。
「それだ!」
「どうすればいいの?」
「それをちょっと貸してくれ!」
ピンを渡すと川端の半月の舟に飛び乗る。彼はピンを大きくして櫂のように星の川を漕ぎ上がった。
「……変な夢を見たな」
朝起きると枕元に何故か星が増えているピン。
テレビから、この数日、暗く光を失っていた変光星がまた赤く輝き出したというニュースが流れた。
お題「どうすればいいの?」
11/21/2023, 11:26:31 AM