月に照らされつつも少し薄暗いビルの屋上
欲望と哀しみだけが漂う世界で
君はこの世が好きだと言った
その時の瞳はいつもより少し輝いていたんだ。
いつもだったら明日また会おうって約束するのに
この日に限って僕は酔っていたから
君に会いに行けず
ふらつく足でそのまま家に帰ってしまったんだ
翌朝、うるさい程に鳴り響くスマホを見たら
君の知り合いと名乗る人から
昨日君が屋上から飛び降りたと。
後悔ばかりが鳴り響く部屋の中で
声が枯れるほど泣いたんだ
明日この世界が滅びるなら僕が一番に
死んでしまえばいいって思ったよ
あの日君に会いに行けていたら
何か変わっていただろうか。
やっぱり君が飛び降りたのは僕のせいだろうか
僕は君にずっと伝えたかったことがあったんだ
最初に会った日から君のこと、
そんなの今更言ったって意味ないよな
走る電車の下で一人泣いていた
一瞬の痛みを感じたからじゃない
最後に会った日、あのビルの屋上で
君の頬をつたう雫を思い出したから。
5/6/2023, 11:17:21 AM