うぐいす。

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 アナログ時計を手に取り、絶望する。
 テレビ画面には、アニメのキャラクターたちが和気あいあいと会話を繰り広げている。
 そのテンションの差が、なんだかひどくチグハグに思えて、また絶望した。
 八月三十一日の午後五時。アナログ時計で見れば、十七時〇〇分。
 もう一時間も経てば、国民的アニメが始まって、より一層、明日から学校が始まることを痛感する。
 ああ、痛い痛い。心が痛い。メンタルブレイク。
 学校に好きな女の子がいればいいのに、あそこは私にとってとても残酷な世界で、魅力的な人なんて一人もいない。
 ダイバーシティ。シティはシーではなくエスの方。日本語でいうと、多様性。
 が、叫ばれている世の中ではあるが、実現できている人は、そう中々いないような気がする。少なくとも、私の周りにはいない。
 男の子が好きになれたらいいのに。
 リモコンを手に取り、ポチッと消点。
 寝転ぶ。
 夏休みがずーっと続けばいいのに。
 ああ、でも。
 エンドレスエイトは、ちょっと嫌だな。



「あんた、宿題はやったの?」
「⋯⋯⋯⋯」
 やっぱり、エンドレスエイト希望で。

8/31/2025, 10:38:46 AM