「あ〜!!今年もバレンタインゼロかよ!」
俺はもてない。だから、もちろんチョコも貰えない。はぁ…またお母さんだけからしかチョコ貰えないのかなぁ…。そんなことを思いながら靴箱の頼りないボロボロの靴を手にした。
靴を履いて学校を出ようとすると
「ちょ、ちょっと待って!」
ん?女の子の声?俺に言ってる?いや、勘違いして恥かいた回数なんて数えきれないくらいあっただろ。無視していると
「あなたに言っているんです!」
やっぱり俺に?
「何」
ぶっきらぼうに答えたら、ちょっと怯えさせてしまったっぽい。
「あ…ごめんなさい。チョコ…渡したくて…」
は…?この俺に…?嘘だろ?
「えーと…ごめん。もう一回言って?」
「チョコを渡したいんです。」
スーーーー。まじか。こんなことがあるんだな…。
「あーそっか。ならくれる?」
「はい」
手には夢にまで見たお母さん以外の手の込んだチョコがのんきにのっている。
その後すぐに女の子は
「ホワイトデーとかいらないので!」
と、捨て台詞のように言いながら走っていく姿を見て、俺はドキドキしている胸を手で抑えていた。
2/15/2024, 12:12:13 PM