とある2人の話

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ずっと隣で 20240314


ドアを開けて、右に曲がって5歩。隣の部屋。
それが俺とおめーの今の距離。


2年半なんてすぎちまえばあっという間で、明日俺たちは卒業する。

退寮のための片付けも佳境で、どんどん蓋をした段ボールがつみあがる。
おめーはもう片付け終わってるだろうな、最初の印象からは想像もできないくらいきちんとしたヤツだってもう知ってる。

なぁ、おめー今どんなこと考えてる?
ちっとは寂しいって思ってくれてんのかな。

おめーは卒業したら、すぐ活躍して沢山の人に囲まれるんだろうな。

その時隣にはどんな人がいるんだろう。



この日のことを考えて来なかったわけじゃない。
でも相手がいることだ、俺の気持ちだけでどうにかなんてできやしねぇ。そんな風に思って、ずっと逃げてたんだ、俺は。


どうして今まで何も伝えなかったんだろう。
後悔しない生き方すんじゃなかったのか?
おめーが隣にいない人生なんて、絶対嫌だ!



明日、式が終わったら伝えよう。

ずっとおめーの隣にいたいって。


鼻をすすりながら、目の前の荷物をまずはやっつけなくちゃなと、腕まくりした俺の部屋をノックする音がコンコンと鳴り響いた。

3/13/2024, 4:56:38 PM