そこにはなんの意味も無い。お互い割り切った関係性でしかないはずなのだ。それなのに何故、お前は慈しむような眼差しを向けてくるのか。やめてくれ、思い上がりそうになる。そんな勘違いはもうたくさんだ。いつものように口付けだけはやんわり拒否する。不意に汗ばむ額に唇を落としてきた。それはどこまでも優しい、柔らかい。何でそんなことを、いやだ、心が揺れ動く。痛む胸の奥を誤魔化すように思い切り背中に爪を立てた。
11/8/2024, 10:04:55 PM