空が白んで風が冷たい。
体温が奪われていくような感覚でとうとう本格的な冬が来たのだと知る。
顎が震えてガチガチと小さく音が出る。
「大丈夫か?」
わざとらしく君が顔を覗き込む。
「大丈夫」
ぶっきらぼうに答えた。目は合わせない。
「食堂行くか?マジで急に寒くなったよな。」
大学の食堂もどこも人でいっぱいだろう。できるだけ人がいないとこに行きたかった。
「大丈夫」
ビル風が私たちの間を通り抜けていく。
木に絡まったイルミネーションが目の端で煌めく。
「…なあ、どうしたんだ?急に話がしたいって言ってきたのはそっちだろ。」
沈黙に耐え切れず彼が痺れを切らした。
頭に血が上る。風が頑張って冷まそうとしてくる。
「この前の週末何してたの?」
「何って、地元の友達が来るから家で飲んでたよ。だから会えないって言ったよな。」
スマホの写真を見せる。
画面の中でサークルの後輩と彼が顔を寄せ合っている。
後輩がわざわざ誤送信してきた写真だ。
「なんで、」
言い訳の言葉が出ない彼に血が引いていく。顔に当たる風の冷たさを感じなくなった。
「別れよう。」
それだけ言うと私はマフラーに顔を埋めた。
11/30/2024, 3:58:59 AM