蟹食べたい

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11/21 「どうすればいいの」

炎刃、燃ゆる、熱く、紅く、激しく
雷刃、闇を貫く、鋭く、強く、美しく
交わりて炎雷、穿つは霹靂、放たれしは必滅の咆哮!

「えぇ…」

なんというか、人間の脳みそって一定以上情報を一気に詰め込まれると逆に冷静になるよねって話。
放課後、学校の帰り道を歩いていたら急に光に包まれた〜とか、目を開けたら全く知らないところだった〜とか、目の前で今にもやばそうな魔法?が俺に向かって放たれそう〜とか
まぁ、色々言いたいことはあるけど、まぁ、現代日本人なら取り敢えず現状を話し合いで解決できないかは挑戦してみるべきだろう。

「あのー、すみません…」
「黙れ悪魔の手先!! 父の仇、今ここで!」
「助けてください! 勇者様!」
「えぇ…」

うん、カオスってこういう事を言うんだね!
それと、今話しかけられて初めて気づいたけど、いつの間にか俺の後ろに隠れてるそこの君? さっきのセリフで何となく分かったけど俺がこうなったの君のせいだよね?
何? 勇者って、俺ただの男子高校生ですよ? こんな見るからに殺意高そうな攻撃食らったら跡形もなくなっちゃうよ? あぁ、そのすがるような目を止めてくれ、俺には何もできないから。

「この期に及んで勇者召喚か! 往生際が悪いぞこの悪魔め!」

片やこれである。何? 親でも殺されたの? さっきのセリフ的にどうにも否定できないのがアレだが、正直彼女の言う通りだと思う。ちょっと往生際が悪いよね? そりゃ命の危機となれば出来ることは全部やろうってのは分からない話ではないけど、タイミングというか呼ぶとしてもこうなる前に呼んでほしかったよね!

「ふぅ…」

空を見上げる。
とっても綺麗で澄んだ青空だった。
大きな空を眺めてたら少しだけ楽観的になれた気がした。
平凡な高校生。
けれど誰にだって特技の1つや2つはあるものだ。

「…やってみるか」

これは言ってしまえば必殺技というやつだ。
現代日本人が使える数少ない必殺技。
効果があるかどうかは正直わからないが、俺も俺の召喚主にならってやれることはやってみようと思った。

「ゆ、勇者様?」
「な、なにをするつもりだ!」

勝負は一瞬。
相手を刺激しないようにゆっくりと膝をつく。
両手を上げる。
そして一拍。
この場の全員が俺の一挙手一投足に注目しているのを肌で感じてから一気に両手を地面につく。
そのまま霞むような速度で上半身を下げる。

「本当に申し訳ありませんでしたぁあああ!!」

でぃすいずじゃぱにーず土下座
裂帛の咆哮と共に相手がドン引く程の気合いで土下座をかました。
それはもう全力で、全身全霊をもって渾身の土下座をかました。
正直自分自身何に対して謝っているのかよくわからないが、大切なのはそこじゃない。相手の怒りを上回るほどの衝撃を与えてこの怒れる少女にほんの少しでもいいから落ち着いて話を聞いてもらうのだ。
悔いがないと言ったら嘘になるが、これが俺にできる最適解だった。
やれることはやった。あとは野となれ山となれ、だ。
上手くいくことを神にでもお願いしておこう。
あと、ついでだからもう一回。

「本当に! 申し訳! ありませんでしたぁあああ!!」

11/21/2024, 1:15:03 PM