六華

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『ページをめくる』

幼いころ 絵本を読むのが好きだった
絵本の定期便が届くのを
いつも楽しみに待っていた
大きくなってからは
小説のおもしろさにはまり
絵本を手にすることはなくなった
いつしか
絵本=子どもが読むもの
と思うようになった

そんなある日
保育士さんが
おとなに向けて
絵本の読み聞かせをしてくれた
ここにきて 絵本の読み聞かせですかと
少しおどろいた
でも、本当におどろいたのはここからでした
保育士さんがタイトルを読み上げ、
わたしたちに表紙を見せてくれました
ページをめくると
やさしい言葉 動かない絵
先生の声のトーンや抑揚 音の響き
デジタルのアニメーションが動く世界に
慣れてしまったわたしの心が動いた
次のページ また次のページへと
ページをめくるたびに
ワクワクと心が動いた
保育士さんが選んだ一冊は
厚みのある絵本だったが
素敵な絵本の世界は あっという間に
おわりを告げた
はい おしまい
裏表紙を見ながら
もっともっと読んでほしいと思った


9/3/2025, 4:32:58 AM