【君は今】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/26 PM 0:15
「やっぱ部活の後は、これだよなー」
「そうだな。天明(てんめい)、
もうそっちもひっくり返していいぞ」
「了解」
サッカー部行きつけのお好み焼き屋。
今日も部活後に数名で昼飯を取るために
訪れている。
牛玉、豚玉、えびいか玉、
明太もちチーズ、と注文はバラバラだ。
「そういや天明さぁ。
古結(こゆい)さんとは、
その後どーなってんの?」
「ん?」
「ほら、動けなくなってた古結さんを
保健室に連れてったことあったろー?
あれ以来、結構一緒にいるとこ
見かけるから、付き合ってんのかな、
って思って」
「ああ、あの時は翼(つばさ)も
いてくれて助かった。
――確かに、あれ以来よく話すように
なったけど、付き合ってる訳じゃないな」
「マジか。あのシチュエーション、
絶対恋が始まりそうだったろー。
もっとグイグイ攻めろよ、
FW(フォワード)だろ、天明」
「いや、FWだろって言われてもな……。
基本的に、古結と二人きりってことは
ないからな?」
「それだよ!」
ダンッ! と、それまで俺と翼の会話を
聞いていた千颯(ちはや)が、勢いよく
ヘラをお好み焼きに突き立てる。
「おおおー? 急にどーしたー? 千颯」
「宵様と仲良くしてんの、
うらやましすぎるんだよ……!」
「は……?」
「千颯は、星河(ほしかわ)さんに
気があるみたいだよ」
突然エキサイトした千颯とは対照的に、
冷静にお好み焼きをヘラで切り分けながら
淳(じゅん)が言う。
「へー、そうだったのか。
っつーか、宵様って。
なんでそんな崇めてる感じ?」
「馴れ馴れしくしようもんなら、
超冷たい瞳で睨まれて踏まれそうだろ」
「――いやちょっと待て!
それは誤解にも程がある!
宵、そんなヤツじゃないからな!?」
「……くっ、呼び捨てとはやるな……。
自分がそんなことしようものなら、どんな
調教されるか、考えるだけで恐ろしい」
「あ、これむしろ蔑んだりされたいやつか。
天明、言うだけ無駄っぽいぞー?」
言うだけ無駄と言われても。
宵本人だけじゃなく、真夜(よる)にも
絶対聞かれたらマズイ内容な気がする。
「天明、君は今、何考えてる?
……ま、何にせよ、お好み焼き、
焼けたからね。
熱くて美味しい内に食べなよ」
淳が綺麗に切り分けたお好み焼きを
皿に乗せてくる。
何を考えているかと言ったら、
それはもう、宵のことだ。
(本当にごめん、宵)
千颯が変な誤解をしていることを、
酷く申し訳なく思う。
なんとか誤解を解きたいけれど、
どうにも骨が折れそうな予感がした。
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サッカー部員
蘭 翼(あららぎ つばさ) → MF
守崎 千颯(もりさき ちはや) → GK
桜ノ宮 淳(さくらのみや じゅん) → DF
2/26/2023, 4:33:09 PM