NoName

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キーンコーンカーンコーン
 チャイムの音が鳴って、教室がガヤガヤし始める。
 「新しい占いの本買ったんだ、みんなでしよ〜」
 「私もしたーい」
 
 そんな女子の声がそこらかしこから聞こえてくる。今は占いがブームになっているらしい。
 「ゆう!」
 
 後ろから自分の名前を呼ばれた。いつも聞いている声だからすぐにわかる。

 「どうしたの?なな」

 振り返って名前を呼ぶ。この子は友達のなな。静かな子
だけど、楽しそうに話してくれる。
まあ、とにかくとってもいい子だ。

 「見て、これ」
 「?これって…雑誌?」
 「うん!最後のに2、3ページに占いのページがあったん
 だ。まだ見てないんだけど、ゆうと一緒にやってみたい
 なって。ほら、占い最近ブームになってるでしょ」
 
  正直言うと私は占いなんかは信じない方だ でも…
 せっかく ななが雑誌を学校まで持ってきてくれたから
 やってみることにした。

 「いいよ それ何占い?」
 「えっとね…星座占い!ゆうは、何?」
 「何って何が?」
 「いや、星座に決まってるでしょ笑」
 「あ、そっ か笑  えっと私は乙女座だよ」
 「乙女座かぁいいなー」
 「別にいいとかなくない?笑 ななは何なの?」
 「私は蠍座、だってサソリだよ?全然可愛くないし」
 「可愛いって…星座にそれいる?笑」
 「どうせなら可愛い方がいいじゃん」
 「そうかなあ笑 まあいいや。
  早くやろうよ時間なくなっちゃう」
 「あ、そっか!じゃあ一番目ね ゆうの乙女座から。あ
  なたのラッキーカラーは紫色です。だって!あとは…」
 
 ななが楽しそうに結果を見て読み上げていく。私とななの結果を見終わってから、次のページを開くと相性占いと書いてあるページを見つけた。

 「相性占いだって、私とゆうちゃんでやってみよー 
 えぇっと…」

 またラッキーカラーや友情運やら楽しそうに読み上げていく。たまには占いもいいかもしれない。

 「運気が上がる行動は…」
キーンコーンカーンコーン
 「え、もうそんな時間経ったの?!」
 「本当だね。もう5時間目だ」
 「う〜もうちょっとで全部読めたのに」
 「まあまあ そうだ、ちょっと早いけどさ
  今日一緒に帰ろうよ」
 「え、今日は塾ないの?」
 「今日はないんだって」
 「やった〜、一緒に帰れるの久しぶり!じゃあ部活
  終わったら校門の前で集合でいい?」
 「うん、いいよ それじゃあまたね」
 「うん!またね~」
 …………………………………………………………………
 「はー、やっと終わった なな、もう来てるかもな」
 
 今日はいつもより練習が長引いてしまった、疲れている体をなんとか動かして校門へと走った。

 「…あ!ゆう」
 「ごめん、遅れた」
 「ううん、大丈夫!今来たとこだから」
 「……そっか笑」
 
 きっと結構早めに来てしまっていたのだろう。1人の時になるスリープモード(もちろん人間はそんな機能ないけど、私たちが勝手に呼んでる)になってたから。

 「そうだ、お店寄って行こうよ」
 「いいね 私、今日はお家帰ってくるの遅いから。
  結構遅くまで行ってもいいけど…ななはどう」
 「わ、すごい!私もそうなんだ 
  今日はとびっきりゆっくり帰っちゃう?」
 そう言ってななが、イタズラな笑みを浮かべる。

 「いいよ」

 そう返しながら私もいたずらっぽく笑って見せた。
……………………………………………………………………
 それからお店に行って、あと、外でご飯を済ませてか
ら、私たちはやっと帰路に着いた。

 「楽しかったー!」
 「そうだね。」
 「あー、でももう帰んなきゃいけないのか」
 「……公園」
 「?」
 「公園寄ってかない? のんびりできるしさ」
 「そうだね」
 
 それで私たちはブランコに乗った。
 今日のお話をたくさんした後、私は空を見上げていった

 「あ!今日めっちゃ星綺麗に見えるよ」
 「え、本当だキレー!」
 「あ、あれもしかして夏の大三角形じゃない?」
 「すごーい!ゆうわかるの?」
 「いや、小学校の授業で習ったこと言っただけ笑」
 「えー なーんだ」「じゃあわかんないか」
 「…私、星座早見表?持ってたと思う」
 「……うん」
 「次は持ってくるからさ、また一緒に星見ない?」
 「もちろん。いいよ!」
 



10/5/2022, 2:04:41 PM