突然だが床にうずくまって苦しそうにしている親友に会った。
3年ぶりくらいだろうか。
どうやら気持ちが沈んでいるようだ。
どうにかして元気になってもらおうと必死に話しかけるが親友は「いや、後にしてくれ」と言って譲らない。
こうなれば意地でも笑わせてやる。私は必死に知恵を振り絞り寒いギャグを言い続けた。
20分後〜
「今日はめでたい日、サイコー、ハーイハーイウルトラソウル、ハーイ」
完全にネタ切れになった私は全裸で叫ぶ不審者と化していた。
ここまでやって誰も止めに入らないのはわけがある、実は多額のお金を支払い周囲をSPに囲ってもらっていたのだ。
まさに無敵。
まあ20分の契約だからもう帰るだろうが。
ふと親友を見ると小刻みに震えていた。
ついにやったか。
しかし彼は無表情で立ち上がると近くにあった木魚を手に取り私に襲いかかってきた。
「やばい」私は命の危機を感じ全速力で駆け出した。
何がいけなかったのだろう。私は疲労で大して回っていない頭で必死に考えた。
葬儀場でちょっとふざけてしまったのは少々まずかったかもしれないが殺される程だろうか。
チラッと後ろを振り返ると彼は血走った目で追いかけてくる。
葬式で殺人を企てるなんて正気じゃない。
彼にはモラルが無いのだろうか。
そうして走っていると、葬儀をさぼって床に寝そべっている僧侶に引っかかって転んでしまった。
もう最悪だ。
私は言った。
「もう二度と来ないからな」
6/27/2023, 10:21:09 AM