ひとりきり
朝、目が覚めると、あたりまえにひとりだ。
布団の中で少しだけまどろんで、
起き上がって、窓から光をとりこむ。
今日の天気は晴れ。
台所へ行き、コーヒー豆を挽く。
ゴリゴリと豆を砕く音は、
静かな部屋に、ささやかなBGMとなって響く。
お湯を沸かし、ゆっくりと注ぐ。
ふわっと膨らむ豆のふくらみに、
「ああ、いい香り」
と思わずつぶやき、ふふっと笑う。
淹れたてのコーヒーをカップに注ぎ、
窓辺に座る。
湯気は上へ上へと、
小さな雲になって消えていく。
なにも考えない。
ただ、ぼんやりと空を眺めて、
ひとりでコーヒーを飲む。
この時間は、
誰に気兼ねすることもなく、
自分自身に戻るための、
大切な儀式のようなものだ。
きっと、ひとりきりじゃなければ、
こんなふうに、
コーヒーを飲むこともなかっただろう。
ひとりきり、自分だけの、贅沢な時間。
9/12/2025, 12:28:52 AM