わをん

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『神様だけが知っている』

生まれて1ヶ月経つか経たないかの頃のわが子の写真が遺影として写真立てに収まっている。誰の手によるでもなく眠るようにしてまた神様の元へと帰っていったあの子のことと、普段はいるかどうかすら思ってもいなかった神様のことをいろいろと、ほんとうにいろいろと考えて、うちの子があんまりにもかわいいから神様は手放すのが惜しくなったのだろう、と私と妻は結論づけた。そうでもしなければ、前に進めないほどにふたりとも悲しみで疲れ果てていた。
誰のせいでもないことの理由は神様だけが知っている。遺影に向かってこっちもなんとか元気でやっている、と呟くと遠くに無邪気な笑い声が聞こえた気がした。

7/5/2024, 3:49:33 AM