順番をなぞる、などということは自分達の関係性においては当てはまらなくても構わないと思っていた。
そう思っていたのは果たして自分だけだったと気付いたのは全て後の祭り。
翌朝枕元に残っていたのは金と、至ってシンプルな詫び状。
そうか、向こうはあくまでもその場限りの関係だと思っていたのか。
そんなことは決して許さぬ。諦めが悪い、自負もある。
譫言のように愛の言葉を紡いでいたのはお前の本音では無かったのか。
少なくともこちらは本気だ。逃すはずもない。
探しものは得意な方だ。
もう二度と大切な存在を失いたくない。
見つけたらどうしようか。両手両足を切り落として自分無しでは生きていけぬ身体にしてやろうか。
否、そんなつまらぬことはしない。
あくまでも五体満足でお前を囲うてやろうな。
逃げ出せるのに逃げ出せないのが良い。どこまでも絶望のどん底に叩き落とす。
少なくともこちらの本気が伝わるまではその身体にしかと愛を刻みこんでやろうな。
ゆらり、立ち上がった男の瞳には歪んだ光が灯っていた。
10/19/2024, 10:38:45 PM