月下美人

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空白


一人でもある程度のことには満足できるようになった。


バーのカウンターで、自分とカクテルに酔う瞬間はたまらない。

たまたま見かけたお店で買った、あんぱんを一人で噛み締めるのは幸福だ。

レイトショーを見た帰り道、余韻に浸りながら、とりとめもないことを考える。



だが、ふと「空白」を感じる時もある。



この酒を飲む時に、あなたが隣にいてくれるなら。

自分ではなく、あなたが、あんぱんを美味しそうに頬張る瞬間を見たい。

静寂が響き渡る中、そっと手を繋いでくれるあなたがいるならば。


この「空白」は、あなたの形でしか埋めることができないんだ。他の何にも変え難い。代用できない。たった一つの特別なもの。代用なんかさせてたまるか。

自分の空白を1mmもずれることなく、これでもかと完璧に、埋めてくれる存在。

それが僕にとっての「あなた」です。

9/13/2025, 2:12:10 PM