天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、
「……なんか暗いね」
「曇ってるからね」
長い沈黙の末に僕の口から出てきた話題は天気で、気まずい雰囲気がさらに重たくなった。
「あー、なんか寒い? なら、暖房でも」
「いいよ、つけなくて。寒くない」
君は遮るようにそう言って、今まで前を向いていた顔がやっとこちらに向く。
先延ばしにしたい僕と、早く終わらせたい君。それなのに、この言葉を告げるのが僕の方だなんて。
「別れよう」
そう視線を逸らしながら言えば、君は少しの沈黙の後で、うん、と小さく頷いた。
5/31/2023, 1:58:10 PM