架空体

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【君と雨】

放課後の空は、濡れたアスファルトに自分の影を映すほどに暗かった。
傘を忘れた君は、校門の前で立ち尽くしている。濡れるのも構わない顔をして、でもほんの少し唇を噛んでいた。

僕は言葉より先に、傘を傾けて君の肩を覆った。
「入る?」
その一言で、君は小さく頷いた。

二人の間に広がる狭い空間。傘に叩きつける雨音が、遠い世界を遮断する。僕らだけが切り取られたようで、胸の奥が静かに高鳴る。
君の髪先から落ちる水滴が、僕の手の甲を打った。その冷たささえ、どこか愛おしい。

雨はまだやみそうにない。
けれど、この足取りがずっと続いてもいいと、ふと思った。

9/7/2025, 12:39:30 PM