子供の頃は、地味な存在だった。
のんびり動いて、野菜ばっか食べて。
キャベツが大好物だった。
大人になる手前で、殻に閉じ籠もった。
まったく動かず、息を潜めるような日々。
それでも、いつか羽ばたく日を夢見てた。
その日が来た。
私は殻を破り、外の世界へと羽ばたいた。
外の世界は色とりどりで、素敵な香りに包まれていた。
子供の頃は、虫取りが好きだった。
狙うはカブトムシやクワガタだったけど、たまにヒラヒラ宙を舞うモンシロチョウを追いかけて、虫取り網で捕まえたりもした。
今思えば、カブトムシみたいに飼うつもりもなく、追いかけ回される恐怖を与えただけで、申し訳ないことをしたな。
彼らにだって、この世界に生まれて、子供の頃からの成長の過程があったはずだ。
羽化して外に羽ばたいた時、生きる喜びを感じたりしたのだろうか。
色とりどりの世界で、優雅に宙を舞い、香る花から花へと蜜を求め。
幸せを謳歌しているような、その穏やかな仕草。
まあ、あの頃の自分にそんなこと話しても、右から左への馬耳東風だったろうけど。
6/24/2024, 1:34:07 AM