霧雨

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【風に身をまかせ】
私は、甲冑さんを喪ってから、また独りになりました。どこに行く宛てもなく、フラフラと枯葉のように漂っていました。
私の心は、それこそ枯葉のようでした。
カラカラと重みのない音を立て、それまであったはずの感情が、すっかり抜け落ちてしまったかのようでした。
その時です。
突然、地面がグラグラと揺れ動き始めました。私は怖くなって、それでいて半ば自棄になって、逃げることもせずに、その場に突っ立っていました。
ゴゴゴゴゴ……
地面に大きな亀裂が入って、私の足元のすぐ側まで、それは迫ってきていました。
世界が終わる。
そんな気がしました。
それは避けるべきことのようにも思われましたが、私としては、このイメージの世界が壊れ、現実に戻れるならば、むしろ好都合でした。
亀裂は私の足元を容赦なく崩し、私の体は、暗い闇の中へと落ちていきました。
白い世界が、遠くへ、遠くへと小さくなっていきます。
私は自分の体も心も、全て空を切る風にまかせて、ゆっくりと目を閉じました。

5/14/2024, 3:31:36 PM