煙花三月

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車窓から、光る家々を眺めていた。
いや、それは半分嘘で、わたしの視線の先にあったのは車窓に反射した車内の人々の俯きだった。

彼らは誰かのために働き、誰かのために帰る。誰のために。何のために。
誰かのためになるのなら最終電車で帰宅することも厭わない。わたしには、その覚悟を持つ余裕はあるのだろうか。

光る家々は次第に減り、月曜日の夜が更けてゆく。

7/26/2023, 1:12:11 PM