帰燕[Kien]

Open App

作品No.163【2024/09/10 テーマ:喪失感】


 母方の曾祖母が亡くなったとき。
 母方の祖父が亡くなったとき。
 父方の祖父が亡くなったとき。
 父方の祖母が亡くなったとき。
 そして、昨年の十一月と今年の五月、約半年の間に相次いで、父方の伯父が亡くなったとき。
 この約三十年間。近しい親戚との別れを、いくつも経験してきた。
 不思議なことに、〝近しい親戚との別れ〟と一口で形容しても、私の中でその喪失感には差があった。
 特に、私達姉妹の面倒を幼い頃から見てくれた母方の曾祖母と、年に数回顔を合わせる程度の父方の親戚とでは、私の中で明らかな喪失感の差があった。父方の親戚の命日は憶えていないくせに、母方の曾祖母と祖父の命日はしっかり憶えているところも、その差が読み取れるだろう(もっとも、母方の祖父の命日を憶えているのは、自身の誕生日の二日前という、なんとも憶えやすい日であることも理由の一つなのだが)。先日の母方の曾祖母の命日に、花束を持って線香をあげに行ったのだって、母の実家の方が自宅から近いから、という理由だけではないはずである。なんなら、ここ数年、私は曾祖母の命日に線香を欠かさずあげにいっているくらいだ。父方の親戚に、そこまでしようとは思えない。
 こんな自分が薄情だ——とも思う。でも、それも致し方ないとも思う。
 かかわりがあればあるだけ、思い出があればあるだけ、その人との別れはいつまでも残り続けるのだから。

9/10/2024, 2:59:07 PM