毛布を被って、スタンドライトを点ける。
温かいオレンジ色の光に包まれながら、本を開いた。
家族の生活音も、外から聞こえる車の音も、なにもかもが耳を通り抜けていく。
本の世界に浸れるこの時間が、私の宝物。
至福の時間というやつだ。
大きな地下室も、立派な書斎も、なにもいらない。
使い古された相棒の毛布と、誕生日プレゼントとしてもらったお気に入りのライト。
この時間だけは、なんの変哲もないこの部屋が私だけの秘密基地へと変わる。
「……ふふっ」
目が悪くなろうが知ったことか。
私だけの時間。私だけの部屋。私だけのもの。
これが、たまらなく幸せなのである。
9/29/2022, 12:52:06 PM