なめくじ

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目を合わせて笑い合うような、
手を繋いで恥ずかしがるような、
柔らかいところに触れて愛おしくなるような、
夢見心地を今でも忘れられなくて。

純粋に恋を愛していたあの頃に戻りたくて。
それ以上の快感を知り、戻るに戻れなくて。

いつものやけ酒に付き合ってくれた名前も知らぬ男。
潤む視界が、男の顔を鮮明に映してくれない。
ただ優しく宥める声に、包み込むような手の温もりに、
忘れかけていた恋の味を思い出せた気がした。

あの夢のつづきを、貴方なら見せてくれるかしら。
熱を孕んだ頬は酒のせいにして、男の手を引いた。

1/12/2025, 7:48:29 PM