柔良花

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 人は死んだら星になると言うけれど、今見上げている夜空に君は居ないのだろう。あの無数に瞬く星の光は全て過去のものなのだから。
 早くて数秒、長くて一生。すぐそこにいて、ずっと会えない距離に行ってしまった君を、きっと私は見つけられない。
 
 隣合って空を眺めた幼少期、君は金平糖を空に掲げ、お星さまの欠片だと笑った。
 君が星になったなら、遠い夜空で瞬かないで。私の中に溶けて消える、甘い星の欠片であって欲しい。ひとりぼっちの空の下、金平糖を口に運ぶ。じんわり溶ける砂糖の粒は、瞬く暇に消えていった。

【星空の下で】

4/6/2023, 9:41:09 AM