題 ぬくもりの記憶
いつの記憶だろう
ほんわか暖かくてなんだか懐かしくて。
僕が産まれてからずっとそばに居てくれた優しいぬくもりは、直ぐに居なくなってしまった。
ぼくは独りだ。
いつも独りだ。
どうやって生きていたかって?
その辺の虫でも草でも食べた。
食べられそうな物は口に入れてみた。
夜中に具合が悪くなる時もあった。
それでも何とか
1人でも生きて行ってたんだ。
君と出会うまでは。
君が手を差し伸べるから
僕は産まれてまもない時のぬくもりの記憶を思い出した。
思い出したくなかった。
切なくて、本当はそこにいつも戻りたかったから。
それでも、一人でいなきゃいけなかった。
どこにも逃げ場なんてなかったんだから。
それで良かったはずだったんだ。
君という避難場所ができるまでは。
甘えてしまう、堕落してしまう。
君といると自分が弱くなったみたいで
守られているようで嫌だった。
それでも喉から手が出るほど欲しかった居場所だった。
だから君といるしか僕には選択肢はなかったんだ。
僕はただの飼い犬になってしまった。
君という飼い主に出会ってしまったから。
もしこの幸せが永遠に続くなら
柔らかい幸せのぬるま湯に浸かっていられるなら
君の優しい手のひらを頭に感じていられるなら
もう僕は降参してしまうかもしれない
何もかも忘れて
君と共にいることが
人生の意味だって
そう思ってしまうかもしれない
それでいいんだって
どこかで自分が囁いてる
たった今この時にもね。
12/10/2025, 11:30:03 AM