「「から〜い!!」」
夕飯を囲むのは、お土産と貰ったカレー。
〝美味しいから!〟と渡されたカレーは激辛だった。
二人は大の甘党。特に彼女は辛いものは苦手で、テーブルに突っ伏してしまっていた。
顔を赤くし涙目の彼女。
自分も辛いものは苦手だけれど、彼女はもっとだ。
「うぅ……地獄だぁ……」
二人頷きながら、スプーンを進めていく。
「食べ終わったら、いいものあげる」
「ほんと!?」
「もちろん!」
「分かった、食べる!!」
辛い中にもうま味を感じて、口に運んでいった。
食べ終わると青年は冷蔵庫から、とっておきのものを出してくる。
「じゃーん!!!」
青年が持ってきたのは、シュワシュワの炭酸にバニラアイスが乗った二人の大好きな飲み物。
「あ、クリームソーダ! 見たことないやつ!」
「そうなの、また新しく見つけたんだー!」
彼女のきらきらした瞳がクリームソーダに釘付けになる。ひとつを彼女の前に差し出すと嬉しそうに受け取った。
ストローを刺して吸い込むと、喉に通る炭酸が心地好い。
「「あまーい!!」」
思わず声が揃ってしまった。
「ふふ、天国です」
カレーで汗をかいた後に、口に含む涼やかな炭酸とクリームの甘さが口に広がると、満面の笑顔が青年に向けられた。
おわり
お題:天国と地獄
5/27/2024, 12:06:53 PM