『あなたにもらったもの、たくさんあります。数え上げたらきりがありません。
本当に、出会えてよかった。この選択をしたこと、あなたはすごく怒るでしょう。でも対処できるのは私だけだった。今ここで私がやらなければ、強い私でいる意味が何も残りません。
だから私は、何も後悔していないのです。
ああそうだ。ずっと言えてなかったけれど、私はあなたのことが⸺』
残された手紙の文章が、不自然な空白をつくる。
聞きたかった言葉、こうであったら嬉しいなと思う単語は予測できたが、断言できず諦めた。
ふと、手放した手紙の『後悔』という単語に、しみができているのが見えた。最後の空白部分には、二つのしみが付いていた。よく見れば直前の文章も震えている。
また、手紙を手放した。
ずるい女だ。残された自分に空白を突きつけるくせに、その空白に思いをたっぷり染み込ませるなんて。
涙があふれて、止まらなかった。
9/14/2025, 8:38:44 AM