まだ出ぬ芽を待って、花壇に水を撒いていく。
春になれば種は芽吹き、綺麗な花を咲かせることだろう。鮮やかな色彩を思い浮かべ、笑みが浮かぶ。
「そんなに水をやるな。芽が出る前に腐ってしまう」
いつの間にか後ろに立つ彼が、呆れたように声をかけた。はっとして水を止め、誤魔化すように手にした如雨露を片づけに立ち上がる。
ざわり。風もないのに庭の木々が葉を揺らす。ふわりと甘い花の香りに、ざわつく心が次第に落ち着いていく。
見上げる空は、澄んだ青がどこまでも広がっていた。
今日はとてもいい日だ。
土の中で目覚めを待つ命たち。
暖かな日差しに誘われ、目を覚ましてくれるだろうか。
2/25/2026, 9:59:15 AM