ある村に、10歳を過ぎたくらいの女の子が住んでいました。
早朝から、水汲み、山羊の世話、
家の掃除、食事の準備と
毎日、忙しく、働いていました。
たまに、近所の村人に話しかけられると、ちょっと、微笑んで、会釈をするだけで、
誰も、その子の声を聞いたことがありません。
ただ、時々、庭先の桃色の花に向かって何か口を動かしているのを見るだけでした。
ある時、女の子が家の外で泣いていました。
いつまでも、いつまでも、泣いていました。
いつの間にか、女の子の花は、青く、冷たく、
変わり、微かに震えたように靡きました。
時が経ち、その家から元気な赤ちゃんの声が聞こえるようになりました。
今日も庭先の花は、咲いています。
黄色い花を大きく見開いて‥。
6/26/2023, 9:33:45 AM